
最近グループレッスンで感じるのは、やはり基本の大切さだ。例えば、習い事に対する心構えについて考えてみることにしよう。日本人だと一般の人は何か新しいことを習う際、謙虚なこころをもってあたる。師の言うことに対しても素直に受けとめるだろう。だが、今どきのタンゴ教室を訪れる人は大抵あせっているというか物の見方が軽いというか、少し基本ステップができてきただけですぐに他の動きを習いたがる。短期滞在の人にはしょうがないのかも知れないが、結局足型だけ覚えタンゴというものを表面的に触れただけで帰ってしまうことが多い。中には一つの基本の組合せ(サリダ/8ステップ)を繰り返し練習に励み、その中に面白さを発見する人もいる。そういう人はラッキーというか、タンゴのこころに近づけたといえよう。20年前自分が初心者だった時、大変運よくいい師に恵まれたと思っているが、その中の一人Miguel Balmaceda先生(SalonCunningでMiguel & Nellyの教室をもっていた)は、3時間のクラス中に特に細かい説明なしにこのサリダのステップだけ練習させたものだった。グループにはいろいろなレベルの弟子がいたが、はじめて入門した私にははじめの3回のレッスン(つまり合計9時間)はそれ以外のことはさせてもらえなかった。すでにオーチョ、ボレオ、ヒロなど知っており、自分を中級レベルぐらいに思っていた私は少しショックを覚え、何回か飽きてしまいそうになったが、この為に留学できたのだからととにかくへばりついて頑なに練習したのを覚えている。パートナーチェンジをしながら、いろいろな人と一緒に踊った。サリダだけのタンゴでとにかく沢山後ろへ歩いた。そうするうちに不思議なもので、いつの間にか歩く基本が身に付きさらに音を聞けるようになっていた。人間同じ動きを繰り返し行っていると体が覚えてしまうもので、考えなくとも自然にクロスするところはクロスできたり、余裕がでてくるので、相手の動きや気持ちに敏感になってくるのだ。そこで感覚が自由になったところで音楽が中にしみ込んでくる。自分の体と相手、音楽が一体に感じられたらしめたもので、そのときこそタンゴの醍醐味を味わえるといえよう。・・・ (写真はMiguel&Nelly先生)

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